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2013 -花暦-

2014写真集へ

 

Model : marino

H&M : Noriko Tokita (milkywings)

Photo : katomi (milkywings)

着付け : tomoko

Space : Cafe らんすみれ

衣装 : ruriko yoshida (phro-flo)   hironobu okuda (phro-flo)

 

 

 

 

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毎年、季節になると咲く花がある。


 庭には、祖父が好きで大切に植えた花がいまも変わらない姿で咲いている。
祖父が父が生まれた時、記念に植えた花があって、
私が生まれた時、記念に植えてくれた花がある。
祖父が側にいた追憶の中のあの日と同じように、色とりどりの花が鮮やかで、

時々吹き抜ける風が葉を揺らす。

私はこの景色が好きだった。
日々日常の景色は変わっていくけれど、この場所から見る景色はいまも何も変わらない。

いくつかの花を摘んで、仏壇に供える。
今日私は、新しい撫子の花を植えた。

 

 

『職人がいる風景』展示について

 


phroーfloのゆかたが生まれるまでにはたくさんの方が関わっています。
その風景を伝えることが出来ないだろうかと、撮影を進める中でまずはじめに感じたのは、多くの人が関わっているという実感について、自分が一番気づいていなかったのかもしれないという事実でした。

今回、フォトグラファーのkatomiさんとお話しする中で、もの作りの消えていってしまうだろう風景をプロだからこその技術で、切り取ってもらえないかと頼みました。

ただ事実を撮るだけで、本当の事実を捉えられる訳ではありません。

彼女の力があれば、残る機会のない物をわずかでも、残すことが出来ると感じました。

時代に必要とされなくなる仕事と言うのはいつか消えてしまうものなのだと思います。

もしくは移り変わる時代の中で、決して変わらない大切な核のようなものがあるとともに、職人のいる風景と言うのは絶え間なく変化し留まらない。

僕は子供の頃から、その風景で育ち、その景色が持っている力について、今もまだ何かを信じています。

僕はその景色がただ好きでした。

そしてその景色が当時のものであり、今のものではないことを知っています。景色もそれを感じる自分も、もはや当時のものではありません。

それでも工場の風景を見回すと、名残があります。

幼い頃から名残を感じ、その先にあっただろう世界について、空想を広げることが好きでした。

人に死があるように、すべてのものもまた常に変化し消えていく。

僕は僕の好きなものについてただ知ってほしいのだと思います。

僕は人が関わる、その時にしかない熱気や景色が本当に大好きです。

人の優しい笑顔も、厳しいまなざしも大好きです。

あの日、僕が背中を向けて、ぼそぼそとつぶやいたお願いに想いを込めて関わってくれたkatomiさんに心から感謝いたします。

また、急なお願いだったにも関わらず、撮影に快くご協力いただいた、アルタカ株式会社、大串商店、八王子織物工業組合事業センター、すべてのスタッフの皆様に感謝いたします。

何より、そういった思いで、たまたま、もしくは導かれるように、今回撮影させていただいた松上染工株式会社。

いつか消えてしまう景色をそうなる前に残そう、その思いそのままに、撮影にいったその日、僕らのゆかたを染めてくれている。

それが松上さんのスタッフの皆さんにとって、最後の仕事であったと知ったのは、その後の話でした。

とても歴史のある工場です。

僕のこの手元にある浴衣は、とてもとても思いのこもった大切な宝物になりました。

染めという仕事を、強い意志を持たれて続けられてきた工場だということを、僕は知っています。

工場で、社長が言われた「いままで誇りを持って、日本人が使うものを、日本人である自分たちの手で作ってきた。

それで構わない。何も残らなくても、それを日々、残してきたんだ」と。

本日は、貴重な時間にもかかわらず、足を運んで頂きありがとうございました。

この風景が好きだから、それを少しでも残したかったから、僕は子供の頃から見続けたこの工場の仕事を選びました。

僕の大好きな風景を、皆様に捧げます。

2013年5月25日

phro-flo /(株)奥田染工場

奥田博伸

 

 
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